COLOR'S

小説

いと心深うあをみたるやうにて

翔太と私はほぼ同時に玄関を出る。 「行ってらっしゃい」の声に振り向きもせずに、「行ってきます」だけボソッと言って、翔太はマンションのロビーを出た。 さて、私も駅へ向かわなくちゃ。 駅までは徒歩で7分、大股で歩く。 満員電車で30分揺られ、10分歩い…

あをみたるやうにて

青い布が私の脳裏をよぎる。 向こうが透けるその布は、ふわっと風にたなびく。麻か薄い木綿か。 その青は日が昇る前の大気の色。 紺とも群青色とも違う、独特な涼しげな色ーー。 目覚まし時計代わりのスマートホンを見ると6:05だった。5分寝過ごしてしまった…